アトリエ萠美は東京都世田谷区にある
個性をのばす受験絵画造形教室です。

 
 
アトリエ萠美は 東京都世田谷区にある
個性をのばす受験絵画造形教室です。
 

 

受験工作

 
 

1 受験工作の進め方

 
志望する学校で工作が出る可能性がある受験生のご家庭では、早い時期から受験工作に特化して情報収集をしたり、工作を習い始めている方がいます。
 
アトリエ萠美では、基礎工作から応用そして発展に至るまで、教材を細分化して丁寧に教えていますから、基礎的な道具の使い方はもちろん、材料の取り扱い方も学ぶことができますので、どの生徒さんも工作が大好きになります。
 
工作の時間を心から楽しみにしていて、絵画のレッスンを頑張って乗り切っているような(^o^)  微笑ましい生徒さんもいるほどです。
 
 
 

エピソード

先日のレッスン後の総評時に、お母様がこのようにおっしゃっていました。
 
あや織りを習ったので、早速自宅でもやらせようとして、お母様がアトリエの教材を参考にして、6本であや織り練習ができるように作り変えて、お子様にやらせようとしたら泣き出してしまったようです。
 
アトリエ萠美では、生徒さんのレベルに合わせて、最初は2本からあや織り練習ができるこいのぼり工作をしてから、次に4本のあや織り練習が出来るマンボウ工作をして、徐々に段階を踏んで取り組んでいたことを思い出したようです。
 
そこで、お母様は本数を少なめに改良して、再び試みたところ、お子様はハードルが下がった安心感からか、泣かずにチャレンジできたようです。そしてお母様は徐々に本数を増やしていき、今ではかなりの本数をこなせるようになって、そのお子様は結果的にあや織りが大好きになったようです。
 
「山本先生が教材の細分化をしている理由が、すごく良くわかりました」とおっしゃってくださりました。
 
時間内に指示されたお題の工作物を完成させることは、もちろん大切です。でも、それと同じように生徒さんのやる気を育ててあげることも、私の大切な仕事だと思っております。
 
そのような信念で日々の授業に取り組んでいるので、私の思いが保護者の方に理解していただき、教授法も真似ていただけたのが、とても嬉しかったです。
 

 

 

2 工作力強化プロジェクト

 
アトリエ萠美の生徒さん達は、工作が大好きです。
 
それは、楽しいはずの工作を嫌いにさせないように、様々な工夫をこらしながらレッスンを進めているからです。
 
また、レッスン後の総評時に、保護者の方々に対してはお子様の工作環境を整えてもらうように、お願いをしています。
 
その環境が整っていないために、負のスパイラルに陥って、辛い思いをしていた方もいました。
 
 
 

エピソード

 
受験まで数ヶ月という時期に、家庭教師のご依頼をいただき、ご自宅にお伺いすることになりました。
 
そのお子様は絵画に関しては描き慣れている様子で、問題はなかったのですが、体験レッスンの工作に入った途端、明るかった笑顔が急に曇ってしまい、元気が無くなってしましました。実際に出来上がった工作物を見たら、正直申し上げて、工作に関しては前途多難な状態に感じました。
 
レッスン後の総評時に、工作についてお母様に詳しくお聞きしたら、左利きから右利きに直したので、工作の道具がうまく使えないのが悩みだとおっしゃっていました。
 
また、通っている幼児教室は、集団における一斉授業なので、早い生徒さんに標準を合わせて授業が進んでしまい、そのお子さんは作業が追いつかずに、授業中に随分と苦しく辛い思いをしたようです。
 
また、お母様なりに、お子様の工作力をあげるために、悪戦苦闘されたようでしたが、お子様の工作力を上げる指導法がわからず、焦れば焦るほどうまくいかなかったので、私のところに切実なメール相談があり、最終的に家庭教師オーダーに至ったそうです。
 
私自身、このお子様をお引き受けしたら、かなり苦しい戦いになるということは十分にわかっていたのですが、それよりも何とかしてこのお子様に自信をもたせてあげて、工作の楽しさをわかってほしいという思いの方が強くなり、覚悟を決めてご依頼を受けることにしました。
 
工作中心のレッスン計画を立てるにあたり、お母様にお願いしたことが3つありました。
 

  • 1.  3ヶ月間は辛抱してお子様を見守ってあげて下さい
  • 2.  出来上がった工作物に関しては減点法ではなく、加点法でお子様を評価してあげて下さい
  • 3.  工作の復習をする時は、必ず笑顔で楽しく行なって下さい
  •  

 
1.基礎工作を行う上で、道具の使い方を1から指導しなくてはならないので、一度教えたからといって、すぐにできるようになる段階ではありませんでした。お子様の伸びゆく力を心から信じてあげて、同じことを何度も何度も根気強く、繰り返し言い続けていかなくてはなりません。
 
2.植えつけられてしまった劣等意識を1日も早く失くせるように、演習を通して工作力を鍛え上げなくてはならないのです。減点感覚でお子様を評価して傷つけるより、加点感覚でお子様を褒めてあげたほうが、素直で純粋なこの生徒さんは伸びると感じました。
 
3.受験日まで残り数ヶ月という時間的な焦りもあり真剣なお母様の表情は、時としてお子様には怖く映る場合があるので、工作の復習をする時は、必ず笑顔で楽しく行うことは大切なポイントです。これから修行に近い、工作力強化プロジェクトが始まるのですから、お母様の顔から微笑みが消えてしまったら、頑張っているお子様のやる気も失せてしまいます。
 
保護者の方にご理解をいただき、最も厳しい工作プロジェクトが始まりました。
 

 

 
 

3 時短工作のためにこだわった道具

 
いよいよ工作力強化プロジェクトのスタートです。
 
これから受験工作のある学校を目指される方にもわかるように、具体的に説明をさせていただきます。

 

 

 使用した道具

 

のり

一番最初に取り掛かったことは、のりの使い方です。
 
鉛筆を持つようにスティックのりを小刻みに使うので、のりが紙につく部分が少なくて、とにかく時間がかかりすぎるのです。
 
「貼りたいものに対してスティックのりを直角に立てて、場面を多く塗っていきましょう。」とお声がけをして、実際に生徒さんの前で私がデモンストレーションをしながら何度も繰り返し練習をしました。
その時に使用したのりがこの「tombow消えいろPiT S 」です。
 
 
 
このスティックのりは優れもので、塗った箇所が青くなるので、どの部分にのりが付いているのか確認できるのです。
 
のりの場所と分量を自分の目で確認しながら作業ができます。
 
他社から同じようなスティックのりも発売されていますが、時短で基礎工作力を鍛えるなら、こののり以外は考えられません。
 
また、基礎工作が終わり、応用や発展に進むと、複合的な工作になり異素材をのり付けする場合にも、強い粘着力があるので有効です。
 
この生徒さん場合は途中でのりの種類を変えている時間的余裕はなかったので、基礎工作の最初からこのスティックのりでスタートしました。
 
 
ハサミ
一番苦労したのはハサミでした。
 
左利きから右利きに直したので、ハサミにおける力の入れ方が全くわからない様子でした。
 
またハサミの先端だけを使って少しずつ切る癖がなかなか抜けきらなくて、あまりにも時間がかかりすぎるのです。
 
「小さな所を切る時は、ハサミの先端を使って切ってもいいですよ」「でも、大きな紙を切るときは、ハサミのお腹のところで切りましょうね」と何度も何度も優しくお声がけをしました。
 
この生徒さんが受験を希望している学校では、見本工作よりは創造工作が出る可能性があったので、ハサミの刃の奥を使って手早く切ることが要求されると思いました。
 
また、集団での考査会場において、出来上がった工作物の良し悪しに関係なく、道具に慣れていることは大きなアドバンテージになります。
 
そこで使用したハサミが「コクヨ学習ハサミ」です。
 
薄い紙も、厚い紙も力の入れ方次第で簡単に切れますし、ハサミサックがついているので、使用した後のお片付け意識も育てられます。
 
最初に始めた直線切りは何とかクリアできたのですが、丸を切る時が難しそうでした。
 
大きな丸から小さい丸を切る練習をしていきましたが、切っているうちに右手の腕が徐々に上がってくるので、ハサミが不安定になって上手に丸が切れませんでした。
 
「右の脇を締めましょうね」「ハサミではなく切る紙の方を少しずつ動かしていきましょう」とお声がけをしました。
 
授業が進むに従って、メトロノームのごとく、私がリズムを刻んでスピードアップをはかりました。
 
丸が切れるようになたら、ジグザグ切りへと進んでいきました。
 
本人はハサミで切ることに夢中になっていて、切り終わった工作の材料の紙を机の下にバラバラと落とすので、あらかじめ素材を置く位置を指定しました。
 
考査会場では、出来るだけ机の上から道具を落とさないで作業をした方が無難ですので、普段の工作レッスン時に工作材料にも気を配れるような指導をしました。
 
 
 
セロテープ
次の難関はセロテープでした。
 
とにかくまっすぐに切れないので、捻れたテープを必死に剥がそうとしているのですが、それだけで時間がかかりすぎて作業が先に進みませんでした。
 
特に安価なセロテープほど切れ味が悪く、お子様に不必要な負荷をかけていました。
 
その様子を見かねたお母様が「伊東屋で簡単に切れるセロテープがあったので買って来ました」と見せてくれました。
 
携帯用の小さいセロテープと、卓上の大きなセロテープ「コクヨのテープカッター カルカット」でした。
 
 
早速そのセロテープを使って工作をして見たら、まっすぐにセロテープが簡単に切れるので作業が進み始めました。
 
まっすぐにテープを切れない場合は、セロテープ練習に無駄な時間を費やしているのは非合理的です。
 
時代はどんどん変わり、新しい優れものが市場には出ているのですから、思い切ってセロテープを買い換えてみるのも大切です。
 
作業がどんどんと進んで形になっていく喜びを知ったその生徒さんは、徐々に工作に前向きになっていきました。
 
たかが道具、されど道具です!
 
頑張っている生徒さんと、そんな我が子をヘルプするお母様との間に温かい空気が流れ始めました。
 

 

 

4  模擬試験の工作で高得点

 
 
毎週120分レッスンをするため、ご自宅に通うようになりましたが、全てが順調にいった訳ではありませんでした。
 
基礎である指示工作のレッスンでは、記憶力があり指示をきちんと聞けるお子様でしたが、ハサミで紙を切る段階になると、なぜか手が止まるのです。
 
簡単な作業にもかかわらず、真剣な顔でハサミをじっと見つめて動かなくなるのです。
 
生徒さんなりに「間違ったらどうしよう」と考えているのか、または幼児教室で失敗してしまった時の事を思い出してしまったかはわかりませんが、何かに怯えた様子だったので、事態はかなり深刻だと感じました。
 
それと同時に、本来楽しいはずの工作なのに、ここまで追い詰められてしまったお子様が、可哀想で仕方がありませんでした。
 
そこで受験工作というよりは、楽しく簡単に制作できて遊べる「びっくり箱」のエコ工作を、急遽カリキュラムに入れ込みました。
 
すると、その試みは大成功‼︎ 自分で作った工作で、繰り返し遊べることが楽しくて、その生徒さんは大喜びでした。
 

工作→遊べる→楽しい

 
その日のレッスン後の総評の時間には、ストローから空気を入れて袋を膨らまして、箱から飛び出すクマさんが嬉しくてたまらない様子で、何度も繰り返しては無邪気で可愛らしい笑顔をふりまいて、いつまでもいつまでも遊んでいました。
 
受験日までのカウントダウンが始まっていたので、私の心の中で焦る気持ちがなかったわけではありませんが、そこはプロとしてグッとこらえて、その日のレッスンでは、工作の楽しさを生徒さんにしっかりと体感してもらうことを最優先にしました。
 
そして一週間後のレッスンの日「先生とのレッスンの時は間違ってもいいのよ」「先生も始めのうちは間違ったことが沢山あるの」「でも繰り返していくと、必ずできるようになるから大丈夫!」と優しくお声がけをしてから、心機一転、再び受験工作をスタートさせました。
 
その頃から工作に対して前向きになってくれて、工作のレッスン中にも時々微かではありましたが、笑顔が見られるようになってきました。
 
生徒さんには「先週よりもハサミが上手に使えるようになっていますよ」「今日はハサミで上手な丸が切れましたよ」「こんな小さな丸が切れるようになったね」「セロテープの長さがきちんと測れていますよ」と少しでも良いと思った箇所を探して、具体的に言葉にして褒めてあげるようにしました。
 
あんなにも暗かった生徒さんの表情が、だんだんと明るくなっていき、始めの頃のような怯える様子が見られなくなりました。
 
そして「最後まで諦めずにやり遂げることができてえらいね」「頑張り屋さんなんだね」と性格的なことも指摘してあげると、純粋な性格のお子様なので、もっともっと頑張りたい気持ちになっていってくれました。
 
その生徒さんにとっては修行のような3ヶ月間が無事過ぎて、明るい光が差し込んだのは、毎週120分のレッスンをスタートしてから4ヶ月目に入った頃でした。
 
そのお子さんは、一度私が教えたことはを覚えていて、きちんと守るという性格の持ち主だったので、幼児教室でも徐々にアウトプットを始めていったようでした。
 
お母様は、幼児教室で「ハサミが上手に切れるようになり、作業がとても早くなりましたが、どうしたんですか」と聞かれて「嬉しかったです」と大きな声でおっしゃっていました。
 
近くで私達の会話を背中で聞いていたお子様も「大好きなお母さんが、僕のことを褒めてくれている、誇りに思ってくれている、認めてくれている」とわかり、以前よりも工作に対して張り切って取り組むようになりました。
 
そこから、怒涛のような好循環が始まりました。
 
工作に対して劣等意識がなくなり、徐々に自信を持っていったその生徒さんは、私のレッスンをとても楽しみにしてくれるようになりました。
 
あんなにも拒絶反応があった工作は大好きになり、授業の終わりに「はい、時間が来ましたので、今日のレッスンは終わりですよ」と言うと「えー 嘘でしょう。もう2時間も経ったの?」と驚いて、残念そうに終わりの挨拶をしてくれるように、変わっていきました。
 
そして、さらに嬉しい出来事がありました。
 
ある日、レッスンにお邪魔した時、お母様が笑顔で「先生、前回の模擬試験で工作の評価と順位が素晴らしかったんです! 見てください!」と模試の結果を見せてくれました。
 
模試での順位の素晴らしさはもちろんなのですが、私が教えた基礎工作要素をしっかり覚えていて、与えられたお題に対して、瞬時に自分なりにアレンジして、限られた時間の中で作品を作り上げることができたという事に、私は感動致しました。
 
「この生徒さんの応用力には、何か特別な素晴らしいものがある」と感じた嬉しい瞬間でした。
 
ここまできたら、いよいよ次なるステップである時短工作スピードアップ特訓の始まりです。
 
 

 

5時短工作スピードアップ特訓スタート

 
 
工作の楽しさを理解してくれたので、基礎工作が終わり応用工作に入ってからも、どんな難易度が高い工作に対しても決して途中で諦めることなく、最後まで根気強くやりぬく姿勢ができていました。
 
取り組む姿勢が備わったと確認できたその日から、工作の授業は合格を目指して作業のスピードアップ練習に入りました。
 
考査会場で道具や工作素材に不慣れなのは目立ちますし、マイナスポイントにもなり兼ねません。
 
お母様に協力していただき、大きな箱を用意してもらい、その箱の中に今までの工作レッスン時間に制作した工作物を全てしまい、工作材料当てクイズをスタートさせましました。
 
アットランダムに工作物を取り出して「さて、この工作は、どんな材料から出来ているでしょうか。この工作の材料を、全部言ってみてください」と質問します。
 
正解出来たら、次の工作の材料をどんどん聞いていくと言うクイズを、毎回の授業の始めに必ず行いました。
 
初めのうちは6割程度の正解率でしたが、続けていると全問正解が続き、どの工作にはどんな材料が必要かを瞬時に言い当てられるようになりました。
 
クイズ形式で進めたので、その生徒さんにとっては遊びの延長のような感覚だったのでしょう、いつも心待ちにしている様子で、夢中になって楽しそうに答えてくれていました。
 
徐々に頭の中が整理されていって、どんな工作にはどのような材料が必要なのかを推測する力がついていきました。
 
次にお母様に用意してもらったのは、試験考査の日に会場に用意される可能性がある、材料(画用紙・紙コップ・紙皿・プラカップ・モール・折り紙・ストロー・お花紙 等)を全て揃えていただき、出し入れしやすいように大きな箱に入れてもらいました。
 
お題に対して、作る物を自分で考えて決定し、箱の中から必要と思われる材料を選んで、時間内に制作をする、一連の流れの演習を繰り返しました。
 
今までの見本を見ながら作り上げていく工作とは違い、自分の考えたイメージを形にしていく作業なので、ワクワクしながら夢中になって取り組んでいました。
 
真面目なお子様なので、私が教えた基本にどこまでも忠実に丁寧に作業をしていましたが、考査当日は時間に限りがあるので時間配分を考えて、ここからは時短につながるダイナミックな方法を教え始めました。
 
工作基礎がしっかりできていたので「ここの部分は、こんな方法もありますよ」と言うと「その方が早いよね」と勘が働くので、時短工作方法の習得がとてもスムーズで容易でした。
 
工作力はますます加速度をつけて伸びていき、お子様の持つ独特な面白い発想で、講師である私が驚くような、荒削りで尚且つ、勢いのある工作物が時間内にできるようになりました。
 
出来上がった工作物を見て、工作に関しては合格圏内に入ったのではないだろうかと心が熱くなりました。
 
次なるステップは自分の作品をきちんと言語化できるようにする練習です。
 
 

 

6  最終仕上げは 言語化スキルアップ

 
 
お子様の伸びゆく力を心から信じて、取り掛かってきた工作力強化プロジェクトでしたが、その生徒さんは素直で粘り強い性格の持ち主だったので、着実に力をつけていってくれました。
 
もともと上手だった絵画にはますます磨きがかかり、どんなお題にも的確な構図を選んで描けるようになりました。
 
いよいよ最終仕上げは言語化スキルです。
 
その生徒さんは穏やかな性格の持ち主で、レッスン中に限らず、普段からとても物静かなお子様なので、答え方練習や話し方練習はどこかの段階では必須事項だと、体験レッスンの時からずっと感じていました。
 
まずはご両親様のリクエストにお応えするために、工作力がつくことを最優先事項にしていたので、言語化特訓をいつスタートするべきか、私なりに最良のタイミングを見計らっていました。
 
レッスンが進む中で、工作に対しての苦手意識がなくなり、少しずつ工作に自信がついてきた頃からでしょうか、休憩時間になると、そのお子様が、はにかみながら少しずつ色々なお話を私にしてくれるようになりました。
 
自分が飼っている昆虫を見せて生態を説明しくれたり、自分が好きな珍しい動物が何を食べてどんな歩き方をするかを教えてくれたり、誕生日にもらったプレゼントの遊び方を嬉しそうに見せてくれたり、家族旅行で起きたハプニングの数々の話など・・・そのお子様の持つ世界を、垣間見れる瞬間が増えていきました。
 
 

 

 慶應幼稚舎の試験は減点方式ではなく、加点方式!

 
考査当日の限られた時間の中で、テスターの方々に、自分の世界を自分の言葉で表現して、いかに自分をアピールすることができるか否かが、合否を分けるのではないかと私は考えています。
 
そこで、テスターの方々の関心事である内容の話に、焦点を当てて、9月から話し方練習をすることに決めました。
 
コミュニケーション練習と称して進めた言語化特訓でしたが、話を聞いていると、お子様は博士並みに深いところまで詳しく、色々な生き物の生態について知っていることにとても驚きました。
 
「知識が豊富で、なんて魅力的なお子様なんだろう。これは何としてもテスターの方々に沢山質問をしていただいて、このお子様の奥深さや心の豊かさを、是が非でも知っていただきたい!」と強く思いました。
 
「そこまで詳しく知っているなんて、すごいね!」「〇〇君のお話は面白いから、大人の人達はみんな聞きたいと思うよ」「楽しいお話をしてくれてありがとう」とにっこり微笑んで反応してあげると、益々夢中になって話をしてくれるようになりました。
 
そして、10月中旬には、ちょうど良い声の大きさで相手の目を見て話ができるようになり、話をする時の表情も明るくなり、なんとか話が続くようになってきました。
 
そして結果は、見事に第一志望校に合格、本当に嬉しかったです。
 

 
 

受験を終えて感じたこと

 
このお子様は、基礎工作特訓から始まり、時短工作スピードアップ特訓もクリア、作品の言語化練習にも何とかギリギリでしたが間に合うという、奇跡的スピードで仕上がりを見せた、頑張り屋さんでした。
 
また、このご家庭が素晴らしかったのは、お母様はもちろんですがお父様が大変協力的で、家族一丸となって受験体制を整えていったように感じました。
 
基礎工作が終わった頃から、レッスン後の総評の時に、お父様が同席される回数が増えていきました。
 
お母様とは違った角度で、父親として今の自分に何ができるだろうかという答えを、私との会話の中に見い出そうとする、お父様の必死な様子が伝わってきました。
 
ですから、私は今まで知り得た情報は惜しみなくお伝えした記憶があります。
 
最も感心したのは、お父様のフットワークの軽さでした。
 
「合格されたお子様のご家庭では、お子様が描いた絵を季節ごとに分けて壁に貼って、考査の日までお子様が内容や構図を忘れないように、努力をされている方がいました」と話をすると、一週間後には即実行されていて、玄関からリビングまでの長い廊下の壁には、美術館のようにお子様の描いた絵のカラーコピーであふれていました。
 
またある日は「本日作った工作は、構造的に頑丈な作りになっていますので、色々な動物に応用が利きますから、展開されると楽しいかもしれませんね」とお話をすると、一週間後にレッスンにお伺いすると、リビングの机の上にはお父様と一緒に試行錯誤の末に展開された様々な動物工作がいくつも並んでいたり・・・その工作を「ここはパパが考えたんだよ」「このアイディアは僕だよ」などと力作を手に取りながら、一生懸命に私に説明してくれるお子様の表情は輝いていました。
 
工作を媒体として、父親と良いコニュニケーションが取れている様子を伺い知ることができて、お子様を益々やる気に導いた、ご家庭の団結力は素晴らしいと感じました。
 
数カ月に及ぶ工作特訓をひたむきに乗り越えて、苦手分野を克服して得意分野に変えて、絵画や工作に自信を待ってご両親様が志望した小学校に、お子様を送り出してあげることができて、本当に良かったです。
 
壁を乗り越えた先に見た光景は、乗り越えた人にしか味わうことができない絶景だったのでは・・・と私は思うのです。
 
 
 
2017. 1.30〜2.10 アトリエ萠美 講座ブログ 投稿記事より